海外安全対策情報(1月~6月)

平成29年8月8日
1 社会・治安情勢
(1)当地最大の懸案事項である殺人発生件数は,2017年1月から6月にかけて1,176人で,前年同時期と比べて41.9%減少(1,284人減少)した結果となりました。その背景には,当地治安当局による青少年凶悪犯罪集団(マラス)に対する特別措置により減少したとの見方がある一方で,死体を見つからないように墓地に埋める等して遺棄するケースや拉致による行方不明者の増加等(後日そのほとんどが遺体で発見されている),実際にはもっと多くの殺人事件が発生している可能性が考えられています。

(2)当国治安情勢における不安材料として,マラス最大一派であるマラ・サルバトゥルーチャ(MS-13)及びMS-13の内部分裂により新たに派生した犯罪組織MS503やM18等の犯罪組織同士での利権争いや粛正による衝突の激化により治安の悪化が懸念される他,マラスによる治安関係者及びその家族を狙った殺人事件や治安部隊とマラスとの銃撃戦も各地で頻繁に発生しております。また,現在まで米国内で犯罪を犯したエルサルバドル人(500名以上)が強制送還されておりますが,当国における強制送還者に対する法整備が整っていないことから,当国における指名手配犯を除くほとんどの強制送還者は当国内で逮捕されることなく野放し状態となっています(政府による緊急措置として,強制送還者に対する住所の登録や移動の制限等,監視強化を行っているが,それが実際に機能しているかどうかは不透明)。

(3)2017年1月から6月までの主要11犯罪別被害は,昨年の同時期と比べて1,269件少ない11,552件(前年比9.8%減)となり,とりわけ殺人及び恐喝件数が減少しているものの,窃盗,強盗,傷害,強姦,配送車強盗・盗難件数は増加していることから,治安状況が改善されたとは言い難い状況です。

(4)目下のところ,当国における日本権益及び日本人に対する直接的なテロの脅威は確認されていませんが,全世界において,いつ,どこで,誰がテロの標的とされるかわからない危険な状態であり,当国においてもテロの標的となる可能性は排除されません。これらの犯罪被害に遭わぬよう安全のための三原則「目立たない」,「行動を予知されない」,「用心を怠らない」を励行して頂き,不要不急の外出は避け,仮に外出する際にも危険とされる場所(危険レベル2の地域,特に旧市街地と呼ばれる首都セントロ地区)への立ち入りや,テロの標的となるような多くの人が集まる場所には近づかない,危険な時間帯(犯罪被害の多くは深夜帯に発生)における移動は避ける等,十分注意する必要があります。

2 主要11犯罪別被害統計(1月-6月)
 
  2016年   2017年 前年差  
窃盗    3,004件 3,613件 609 (20%増)
強盗    1,680件 1,796件 116 (6.9%増)
傷害   1,341人 1,462人  121 (9%増)
殺人  3,060人 1,776人 -1,284 (41.9%減)
恐喝  1,163人 582人 -581 (49.9%減)
車両盗難         1,143件 514件 -629 (55%減)
車両強盗 560件 363件 -197 (35%減)
強姦   156人  770人 614 (393%増)
交通事故死 623人  591人 -32 (5%減)
配送車強盗・盗難 78件  85件 7 (8%増)
誘拐  13人 0人 -13 (100%減)
合計 12,821 11,552 -1,269 (9.8%減)


2017年1月から6月までの月別強姦被害は,昨年の同時期と比べて614人多い770人(前年比393%増)となりました。強姦被害件数の増加については,被害件数の集計方法の変更による要因と,女性保護団体等の機関が多く設立されたため,被害届けを出し易くなったことが要因として挙げられます。また,未成年に対する強制わいせつ罪の場合,その多くが家庭内で発生しています。

その他治安情報等は,在エルサルバドル日本国大使館ホームページ及び外務省海外安全ホームページに掲載していますので,こちらもご参照ください。