
[2月4日更新内容]
・「2.発生状況」にオランダ領アルバ及びボネール島を追加。
・「3.ジカウイルス感染症と小頭症等との関連」中の小頭症の疑い例を含む報告数を更新
・「4.その他の蚊媒介感染症(デング熱,チクングニア熱)への注意」を追記
・「6.流行地域からの帰国時・帰国後の対応(日本国内の検疫について)」を追記
「レベル1:十分注意してください。」
「特に妊娠中の方又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限りお控え下さい。」
※厚生労働省のホームページにおいても関連情報が提供されていますので,こちらも併せてご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
1.世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言
WHOは、2016年2月1日に開催された、ジカウイルス感染症に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会(第1回)会合の勧告を踏まえ、最近のブラジルにおける小頭症やその他神経障害の急増について、「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC、Public Health Emergency of International Concern)」を宣言するとともに、妊娠中及び妊娠適齢期の女性のジカウイルス感染症への感染を減少させるための各種対策を含む勧告を発表しました。
ジカウイルス感染症と小頭症等との関係については引き続き研究が行われていますが、詳細な調査結果が得られるまでの間、特に妊娠中又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限りお控え下さい。やむを得ず渡航、滞在する場合には、在ブラジル日本国大使館等からの最新の関連情報を入手するとともに、蚊に刺されないようにするなど以下4.を参考に十分な感染予防に努めてください。
2.ジカウイルス感染症の発生状況
2015年5月以降、ブラジルをはじめとする中南米地域を中心に、ジカウイルス感染症の発生が報告されています。現在、ブラジルの22州で感染が確認されているほか、WHO等によれば、バルバドス、ボリビア、コロンビア、コスタリカ、カーボヴェルデ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、サモア、スリナム、トンガ、ベネズエラ、フランス領(グアドループ、サン・マルタン、ギアナ、マルティニーク)、オランダ領(アルバ、キュラソー島及びボネール島)、米領(バージン諸島、プエルトリコ及びサモア)、において、ジカウイルス感染症の感染例が報告されています。
3.ジカウイルス感染症と小頭症等との関連
2015年11月28日、ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症等に関連が見られることを発表しました。同省によれば、2015年10月から2016年2月第2週までに、同国内で5,280例の小頭症の疑い例が報告され、うち462例の小頭症が確定しています。現時点においてジカウイルス感染症と小頭症との因果関係は明らかではありませんが、WHOが緊急事態を宣言したことを踏まえ、詳細な調査結果が得られるまでの間、特に妊婦及び妊娠予定の方の流行国・地域への渡航及び滞在は可能な限りお控えください。
4.その他の蚊媒介感染症(デング熱,チクングニア熱)への注意
ジカウイルス感染症が流行している地域では,同様に蚊を媒介とした感染症であるデング熱やチクングニア熱の発生も例年報告されており、注意が必要です。ブラジルでは、2015年に約160万人がデング熱に感染し、うち863人が死亡しています。感染経路や症状についてはジカウイルス感染症と類似しているため、以下5.を参照に蚊に刺されない予防に努めてください。特に、デング熱は、重症化すると皮下出血や肝腫大等を引き起こし、デング出血熱又はデングショック症候群と呼ばれる重篤な病態を示し、死に至る場合もあります。流行地域へ渡航・滞在される方は予防対策の励行を心がけてください。
5.ジカウイルス感染症について
(1)感染経路
ジカウイルスによる感染症で、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。極めて稀なケースとして,輸血や性交渉による感染の可能性も指摘されています。
(2)症状
ジカウイルスを保有した蚊に刺されて感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日で、主に2~7日で、およそ2割の人に発症すると言われています。発症すると軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
(3)治療方法
現在、ジカウイルス感染症には有効なワクチンや特異的な治療法はなく、対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺された後に発熱が続く、または発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。
(4)予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンもなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。これらの感染症の発生地域に旅行を予定されている方、1月~5月にかけて蚊の繁殖が最盛期を迎えますので、次の点に十分注意の上、感染の予防に努めてください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は、ディート(DEET)やピカリジン(Picardin)等の有効成分のうちの1つを含むものを、商品毎の用法・用量で適切に使用する。一般的に、有効成分の濃度が高いほど、蚊の吸血に対する効果が長く持続すると言われている。
●室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
●軽度の発熱や頭痛、関節痛や結膜炎、発疹等が現れた場合には、ジカウイルス感染症を疑って、直ちに専門医師の診断を受ける。
●蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
6.流行地域からの帰国時・帰国後の対応(日本国内の検疫について)
すべての蚊がジカウイルスを保有しているわけではないので、蚊に刺されたことだけで過度に心配する必要はありませんが,心配な方や発熱等の症状のある方は、帰国された際に、空港の検疫所でご相談ください。
また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等にご相談ください。なお,発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。
(参考情報)
○厚生労働省HP(ジカウイルス感染症について)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
○世界保健機関(WHO):Microcephaly/Zika virus(英文)
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/en/
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
(携帯版) http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp
(現地大使館連絡先)
○在エルサルバドル日本国大使館
電話:2528-1111
国外からは(国番号503)2528-1111
ホームページ:http://www.sv.emb-japan.go.jp/index_jp.html